沼津市議会の一般質問・議案/市の計画 沼津市政アーカイブ

沼津市議会の議事録を市民向けに構造化。
一般質問=議員が問うたこと/議案・議決=議会が決めたこと/市の計画=市が目指していることを、横断して見られます(第1回〜第12回定例会・2023.6–2026.2)。

計画ぬまづ生物多様性地域戦略

環境・エネルギー2021〜2030年度

数値目標・施策の各論はAIが公式PDF本文から抽出した参考情報です。数値・名称は原文に基づきますが、抽出漏れや誤りを含む可能性があります。正確な内容は必ず公式PDFをご確認ください。図表・地図は公式PDFでご覧いただけます。

この計画はどんな計画か

市内の野生動物や植物などの自然を守り、みんなで大切にしていくための10年間の計画です。

市の目標野生動物や希少な生物を守り、自然と人間が上手に付き合える環境をつくることを目指しています。市民みんなで自然を調査したり、外来種を持ち込まないよう協力したりする活動が大切です。

数値目標・成果指標 2件

施策・取り組み

主要施策ぬまづ生物多様性地域戦略の策定浮島ヶ原湿地の保護市民・事業者との協働推進
個別の事業をすべて見る(31件)
  • モニタリング調査の実施
  • 水生生物調査(観察会)
  • アカウミガメ産卵実態調査
  • 天然記念物の指定・保護
  • 外来種防除活動の普及啓発
  • 有害鳥獣の適正管理
  • 保護地域での行為制限の周知
  • 森林の適正な維持管理
  • 保安林の指定
  • 環境保全型農業の推進
  • 集落協定による農地保全
  • 農作物林産物の地産地消
  • 荒廃農地への対策
  • 湿地の保全
  • 公園緑地の整備・管理
  • 市民参加型の公園管理
  • 緑化の推進
  • 河川及び護岸の保全管理
  • 河川清掃・保全活動への支援
  • 海岸林の保全・管理
  • 海岸清掃・保全活動の支援
  • 保護地域・自然共生サイト拡大
  • 生物多様性保全活動賛同団体登録制度
  • 景観と再生可能エネルギーの調和推進
  • 観光資源の保全・整備・維持活用
  • ハイキングコースの整備・パトロール
  • 景勝地の自然配慮型維持・管理
  • 自然ふれあいのマナー啓発
  • 沼津市景観計画による景観形成
  • 電線地中化の推進
  • ジオパークジオサイトの活用

本編を章ごとに読む

各章の内容をAIが市民向けに要約しています(公式PDFの本文に基づく参考情報)。図表・正確な原文は各章のPDFでご確認ください。

ぬまづ生物多様性地域戦略PDF 3.6MB

この章は、沼津市が生物多様性を守り続けるための基本的な戦略を示しています。地球上の多くの生き物がつながり合って成り立つこの多様性が、私たちの食べ物、きれいな水、観光資源など、日々の生活を支えていることを説明しています。沼津市の豊かな自然環境とそこに住む多くの生き物について、現在の状況をまとめた内容です。

背景急速な生物種の絶滅に対する国際的な危機感から、生物多様性を保全し、持続可能な自然利用を実現するため。

  • 2026~2030年度の5年間を計画期間とする地域戦略
  • 生態系、種、遺伝子の3つの視点で生物多様性を捉える
  • 開発、自然への関わり減少、外来種、温暖化が4つの危機
  • 沼津市内では植物2,426種、動物1,572種を確認
  • 浮島ヶ原など重要な湿地が多くの希少種の生息地
  • 農業・漁業・観光が生物多様性の恵みに支えられている

この章の公式PDF(図表・原文)を開く ↗

AIが抽出した原文を見る(読みづらい場合があります)

84 戦略策定の背景 ●生物多様性に関する国際的な動向 急速な生物種の絶滅に対する危機感、生物資源の消失への危機感から、1992(平成 4)年 6 月にブラ ジルのリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議(地球サミット)に合わせ、初めて「生物多様性」 という概念を採用した「生物多様性条約」が採択されました。

2010(平成 22)年には愛知県名古屋市で生物多様性条約第 10 回締約国会議(COP10)が開催されまし た。同会議では、「生物多様性戦略計画 2011-2020」が採択され、2020(令和 2)年までに生物多様性の 損失を止めるための 20 の個別目標である「愛知目標」が掲げられました。

さらに、2022(令和 4)年 12 月にはカナダ・モントリオールで開催された COP15 において、「昆明・ モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。この新たな枠組では、2030(令和 12)年までに陸 域・海域の 30%を保護する「30by30 目標」などが盛り込まれ、世界的に「ネイチャーポジティブ(自然 を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止めて反転させる)」の考え方が広がっています。

●「生物多様性基本法」の施行と「生物多様性国家戦略」の閣議決定 日本では「生物多様性基本法」が 2008(平成 20)年 6 月に施行され、2012(平成 24)年 9 月には「生 物多様性国家戦略 2012-2020」が閣議決定されました。これは愛知目標の達成に向けた国のロードマッ プとして位置づけられました。

その後、2023(令和 5)年 3 月には「生物多様性国家戦略 2023-2030」が新たに閣議決定され、COP15 の枠組に対応する形で、「自然共生社会」の実現を目指す政策が打ち出されました。重点施策には、自 然再生、グリーンインフラの推進、企業・自治体の参画促進などが含まれています。

●「自然共生サイト」と「生物多様性増進活動促進法」の施行 環境省は、民間や自治体による生物多様性保全の取組を評価・支援する制度 として、2023(令和 5)年度より「自然共生サイト」の認定を開始しました。 これは、国立公園などの保護地域以外でも、生物多様性の保全が図られている 区域を対象とするもので、OECM(保護地域以外の保全地域)として国際的にも 認知される仕組みです。

そして、2025(令和 7)年 4 月には「生物多様性増進活動促進法」が施行さ 1-1 第7章 ぬまづ⽣物多様性地域戦略 | 第 1 節 戦略の概要 -- 1 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 85 れ、自然共生サイトの法的な位置づけが明確化されました。この法律では、企業や自治体が「増進活動 実施計画」や「連携増進活動実施計画」を策定し、主務大臣の認定を受けることで、保全活動に対する 規制緩和や財政支援などのインセンティブが得られるようになっています。

この制度により、里地里山、 都市の緑地、企業緑地など、身近な自然の保全が促進され、「30by30」目標の達成に向けた国内の取組が 加速しています。 ●「静岡県レッドデータブック」の公表・改訂 静岡県では、絶滅のおそれのある野生生物についての理解 を深め、適切な保護・保全を進めるため、2004(平成 16)年 3 月に「まもりたい静岡県の野生生物―県版レッドデータ ブック―」を公表しました。

その後、10 年余の間に生じた野 生生物の生息・生育状況の変化などの調査結果をとりまとめ、 「まもりたい静岡県の野生生物―静岡県レッドデータブック ―<動物編><植物・菌類編>」として改訂を行い、2019(平 成 31)年 3 月、2020(令和 2)年 3 月に発行しました。 ●「静岡県希少野生動植物保護条例」の施行 静岡県では、絶滅のおそれのある野生生物を保護するため、2011(平成 23)年 4 月に「静岡県希少野 生動植物保護条例」を施行しました。

地域ごとに調査を進め、これまで 11 種(ホテイラン、アカウミガ メ、カワバタモロコなど)が指定希少野生動植物に指定され、保護監視員による保護活動が進められて います。 ●「ふじのくに生物多様性地域戦略」の策定 静岡県の多彩で豊かな自然環境を後世に継承していくための行動計画として、静岡県は 2018(平成 30)年 3 月に「ふじのくに生物多様性地域戦略」を策定しました。

同戦略は静岡県における特徴的な地 域として、「伊豆半島」「富士山」「南アルプス」「浜名湖」の 4 つの地域を取り上げ、地域別個別計画を 掲載しています。沼津市と富士市にまたがる湿地帯の浮島ヶ原は、「浮島沼の湿地」として、「ふじのく に生物多様性地域戦略」の「今守りたい大切な自然」に選定されています。

なお、2023(令和 5)年に は「改訂版ふじのくに生物多様性地域戦略」が策定されました。 戦略の基本的事項 ●戦略の位置づけ・趣旨 「ぬまづ生物多様性地域戦略」(以後、本戦略という)は、「生物多様性基本法」第 13 条に基づく生物 多様性地域戦略です。生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性を浸透させ、市・市民・事業者など による様々な取組について、計画的かつ総合的に進めることを目的とします。

●戦略の期間 本戦略の期間は、2026(令和 8)年度から 2030(令和 12)年度までの 5 年間とします。 1-2 -- 2 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 86 生物多様性の定義と 3 つの視点 ●生物多様性の定義 地球上の生物は長い歴史の中で、 様々な環境に適応して進化し、多様な 生物が生まれています。

生物は、直接 的・間接的につながりあい、壮大な生 命の環を織り成しています。この生物 たちの豊かな個性とつながりを、「生 物多様性」と呼びます。 ●3 つの視点 生物多様性は「生態系の多様性」「種の多様性」「遺伝子の多様性」という 3 つの視点で捉えることが できます。 2-1 | 第 2 節 生物多様性とは 生物のつながり 奥山、里地里山、田園・湿地、 河川・池沼、海岸・海洋など、 それぞれの地域に様々なタイ プの生態系が形成されている ことを「生態系の多様性」とい います。

動物、植物、菌類などの 様々な種が生息・生育 していることを「種の 多様性」といいます。 個体や個体群の間に遺伝子レ ベルの違いがあることにより、 同じ種でも模様や生態などに 個性があることを「遺伝子の多 様性」といいます。 -- 3 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 87 生物多様性の恵み「生態系サービス」 私たちの暮らしは、生物多様性によってもたらされる恵み「供給サービス」「調整サービス」「文化的 サービス」「基盤サービス」によって支えられています。

2-2 暮らしの基礎となる 「供給サービス」 ご飯、野菜、魚、肉などの食料、住居に使われる木 材、衣類に使われる綿や麻、新聞や本などの紙製品、 医薬品など、人間の生活に重要な資源を供給してくれ る生物多様性の恵みを「供給サービス」といいます。 自然に守られる私たちの暮らし 「調整サービス」 森林による水源かん養や二酸化炭素固定機能、干潟 による水質浄化機能など、生態系が自然のプロセスに よって環境を制御してくれる生物多様性の恵みを「調 整サービス」といいます。

文化の多様性を支える 「文化的サービス」 ハイキングやバードウォッチングなどのレクリエー ション、祭りや文学、エコツーリズムなど、生物多様 性によって醸成される文化的な基盤や価値を支えてく れる生物多様性の恵みを「文化的サービス」といいま す。 生きるための基盤となる 「基盤サービス」 植物の光合成、土壌形成(昆虫や微生物が土をつく るなど)、水の循環など、上記 3 つのサービスの継続的 な提供を支える基本的な生物多様性の恵みを「基盤 サービス」といいます。

-- 4 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 88 生物多様性の 4 つの危機 生物多様性は、多くの生物が関わりあいながら存在することで成り立っていますが、これらの生物が 現在、絶滅の危機にさらされています。本市でもすでに絶滅してしまった種や、絶滅のおそれのある種 があります。

生物の絶滅は確実に迫っている身近な問題であることが分かります。 このような生物多様性を脅かす原因として、以下の 4 つの危機が指摘されています。 ●第 1 の危機|開発など人間活動による危機 第 1 の危機は、開発(森林開発や農地転用、河川の直線化など) などによる生物の生息・生育地の破壊や、乱獲・盗掘などによる 生物の個体数の減少などです。

●第 2 の危機|自然に対する働きかけの縮小による危機 第 2 の危機は、ライフスタイルの変化により、自然に対する人の 働きかけが縮小することで、里地里山の生態系のバランスが崩れ、森 林の水源かん養や土砂流出防止などの機能が低下することです。 ●第 3 の危機|人により持ち込まれたものによる危機 第 3 の危機は、外来種が持ち込まれることにより、在来種のす みかが奪われ、交雑による遺伝的な攪乱が生じることなどです。

また、化学物質による生態系への影響も懸念されています。 ●第 4 の危機|地球環境の変化による危機 第 4 の危機は、地球温暖化など地球環境の変化によって、多くの 生物が絶滅や生態系の崩壊の危機に直面していることです。 2-3 -- 5 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 89 生物多様性と沼津市 「生物多様性」という言葉は、まだあまり浸透していませんが、実は私たちの生活や産業は、生物多 様性の恵みによって支えられています。

私たちが生物多様性についてよく理解し、身近なこととして考 えていく必要があります。 ●私たちの先祖と生物多様性の恵み 私たちの郷土には、人々が生活した痕跡である遺跡が多数見つかって おり、約 3 万 7 千年前の旧石器時代から連綿 れ ん め ん と続いてきています。愛鷹 山麓では数多くの石器が出土していることから、動物などを捕まえてい たと考えられ、また狩猟のほかにも野山に生育する木の実などの採集や、 水辺に近い遺跡では漁撈 ぎ ょ ろ う が行われていました。

さらに、大陸から伝えら れた農耕技術である水田による稲作が盛んになってくると、台地上だけ でなく平地にも人々が生活するようになりました。 このように私たちの祖先は、古くから生物多様性の恵みをうまく利用 して生きてきました。 ●産業と生物多様性の恵み 温暖な気候や肥沃な土壌などにも恵まれた本市では、茶、みかん、米 などの農作物が育てられています。

このうち、「西浦みかん寿太郎」は 本市で生まれ育った純正沼津ブランドで、全国的にも有名です。 また、波静かな入江と長い海岸線、黒潮など、自然条件に恵まれた沿 岸漁業は、昔から本市を代表する産業の一つです。サバ、イワシなどの 水揚げが多いほか、マダイ、マアジの養殖も盛んに行われています。

全 国的には「あじのひもの」が有名ですが、最近では戸田地区を中心にタ カアシガニやその他の深海魚などにも注目が集まっています。 このように私たちの産業は、生物多様性の恵みによって支えられてい ます。 ●観光資源と生物多様性の恵み 本市には、千本松原、香貫山、狩野川、大瀬崎などの景勝地があるほ か、新鮮な魚や果物などの味覚を味わいに来訪する観光客も多くなって います。

これらの景勝地や味覚は、生物多様性の恵みによってもたらさ れています。 ●文化と生物多様性の恵み 本市の海岸部に続く千本松原は、美しい松林を形成し、松林越しに富 士山を望むことができる景観も相まって、若山牧水や井上靖など多くの 文学者の作品にも登場します。また、大瀬神社で毎年 4 月 4 日に行われ る「大瀬まつり」は、海上安全と豊漁を祈願しています。

これらの文学 や祭りは、生物多様性の恵みによって育まれたものです。 3-1 | 第 3 節 本市の生物多様性の現状 西浦みかん寿太郎 茶畑 千本松原 アジのたたき タカアシガニ -- 6 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 90 植物 本市の植物は 2,426 種の記録があり、低地から山地の植物を中心に多くの種が生育しています。

本市 は植物地理学でいう「フォッサマグナ地域」に位置しており、同地域に特有なマメザクラ、ランヨウア オイなどの植物が生育しています。 かつては静岡県で最も大規模な湿地帯であった浮島ヶ原には、ハンゲショウやミズオオバコなど数多 くの湿生植物や水生植物が生育していました。サワトラノオやヒキノカサは浮島ヶ原を県内唯一の生育 地とする種です。

動物 本市で確認されたことのある動物は 1,572 種であり、その内訳は哺乳類 27 種、鳥類 280 種、爬虫類 17 種、両生類 15 種、魚類 325 種、昆虫類 506 種、クモ類 82 種、貝類 106 種、甲殻類などその他の動 物 214 種です。 動物の主な生息地として、愛鷹山、浮島ヶ原及び狩野川が知られています。

特に富士市にまたがる湿 地帯の浮島ヶ原では、多くの鳥類が記録されています。 ●哺乳類 大型のツキノワグマやニホンジカ、中型のキツネやタヌキ、小型のネズミやモグラ類まで 27 種の哺 乳類が確認されています。 愛鷹山は哺乳類の生息環境として豊かな森林帯を有していて、14 種の哺乳類が記録されています。

本 州最大の哺乳類であるツキノワグマの生息地にもなっていますが、森林の縮小と分断により絶滅が心配 されています。一方、市街地から南の達磨山へ続く山ではニホンザル、イノシシ、タヌキ、ノウサギな ど 11 種の哺乳類が確認されています。特徴的なこととして、静浦の石切場跡がコウモリ類の生息場所 になっていることがあげられます。

絶滅の可能性のある種として、ユビナガコウモリ、キクガシラコウモリ、ニホンリスなど 9 種があげ られます。 3-2 3-3 ハンゲショウ マメザクラ サワトラノオ ヒキノカサ タヌキ ニホンザル ノウサギ キクガシラコウモリ -- 7 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 91 ●鳥類 愛鷹山、浮島ヶ原、駿河湾という著名な鳥類の生息地・渡来地が知られていて、今までに 280 種が確 認されています。

愛鷹山には険しい地形の山稜にブナやミズナラの林が広がり、森林性の鳥類が生息し ています。浮島ヶ原はヨシゴイ、ヒクイナ、アオサギなど水鳥の繁殖地、渡り途中に立ち寄るシギ・チ ドリ類の中継地、さらに小鳥類の越冬地となっています。また、駿河湾の沼津沿岸海域では、カモメ類、 ミズナギドリ類をはじめとする海洋性鳥類の集結地となっています。

市街地や周辺の公園などではシ ジュウカラやコゲラ、カワセミ、イソヒヨドリなどの野鳥もみることができます。 絶滅の可能性のある種として、ヨシゴイ、クマタカなど 88 種が確認されています。 ●爬虫類・両生類 爬虫類が 17 種、両生類が 15 種確認されています。河川や湿地、池沼などではカメ類やカエル類など が、農地や集落の周辺、山地などではオカダトカゲなどのトカゲ類 3 種、シマヘビなどのヘビ類 7 種が 確認されています。

また、愛鷹山の渓流にはハコネサンショウウオ、森林にはモリアオガエル、内浦周 辺(達磨山山麓)の中小河川にはツチガエルやカジカガエルなどが生息しています。 絶滅の可能性のある種として、アカウミガメ、ニホンイシガメ、ハコネサンショウウオ、ニホンアカ ガエルなど 18 種があげられます。

アカウミガメは県内では遠州灘や駿河湾が重要な産卵地になってい ますが、市内の富士海岸(原地区)でも産卵が確認されています。 ●魚類 汽水・淡水産魚類 84 種、海産魚類 241 種の合計 325 種が確認されています。汽水・淡水産魚類は、河 川では上流域に生息するアマゴや、下流域に生息するヌマチチブなど、様々な環境でみられる魚類が確 認されており、浮島ヶ原や水田周辺の水路などではミナミメダカやドジョウなどが確認されています。

海産魚類は、マアジやメジナのような港内でもみられるものから、ミツクリエナガチョウチンアンコウ のような深海に生息する種まで、様々な水深に生息する魚類が確認されています。 絶滅の可能性のある種として、汽水・淡水産魚類のホトケドジョウやミナミメダカ、アユカケ(カマ キリ)、カワアナゴなど、海産魚類のミツクリザメやマフグなど、合計 24 種があげられます。

コチドリ ヨシゴイ コゲラ カワセミ ハコネサンショウウオ オカダトカゲ モリアオガエル カジカガエル -- 8 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 92 ●昆虫類・クモ類 キリシマミドリシジミやツマキエダシャク、ム カシトンボ、ミヤマサナエなどの昆虫類 506 種が 確認されています。

また、ジョロウグモやトゲグモ など、82 種のクモ類が確認されています。 絶滅の可能性のある種として、昆虫類はモート ンイトトンボ、ウラナミアカシジミなど 22 種、ク モ類はオニグモ 1 種があげられます。 ●貝類 陸・淡水産貝類 74 種、海産貝類 32 種の合計 106 種が確認されています。

陸・淡水産貝類は愛 鷹山、静浦から大瀬崎、戸田などの海岸部、狩野 川及びその他の中小河川の河口域などで調査記 録があります。一方、海産貝類については、まだ あまり記録がありませんが、タマキビガイやイボ ニシなどが確認されています。 絶滅の可能性のある種として、ナガオカモノア ラガイやヒロクチコギセルなど 24 種があげられ ます。

●その他の動物 上述以外の分類群として、甲殻類やサンゴ類な ど合計 214 種の動物が確認されています。内浦か ら西浦には浅い岩礁があり、イワガニやイソスジ エビなどが確認されています。また、内浦湾にもエ ダミドリイシなどを主とする造礁サンゴ群集が存 在しており、日本のほぼ北限に位置しています。

一 方、狩野川や門池など淡水の水域では、テナガエビ やモクズガニなどが生息しています。 絶滅の可能性のある種として、サラサフジツボ、 アカカクレイワガニの 2 種が確認されています。 ミナミメダカ アマゴ ドジョウ メジナ モートンイトトンボ ウラナミアカシジミ ナガオカモノアラガイ ヒロクチコギセル イソスジエビ モクズガニ -- 9 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 93 絶滅の可能性のある動植物・天然記念物 ●絶滅の可能性のある動植物 絶滅の可能性のある動植物として、「静岡県レッドリスト 2020」に掲載されている 326 種(植物 185 種、動物 141 種)、「環境省レッドリスト(2020,2025)」、「環境省版海洋生物レッドリスト(2017)」の みに掲載されている 60 種(植物 13 種、動物 47 種)の合計 386 種(植物 198 種、動物 188 種)が市内 で確認されています。

カテゴリー区分と確認種数 カテゴリー区分 基本概念 本市での確認種数 植物 動物 合計 絶滅(EX) 本県ですでに絶滅したと考えられる種 0 1 1 野生絶滅(EW) 飼育・栽培下でのみ存続している種 0 0 0 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅の危機に瀕している種 37 23 60 ⅠA 類(CR) ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの 9 6 15 ⅠB 類(EN) ⅠA 類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの 28 17 45 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 絶滅の危険が増大している種 72 41 113 準絶滅危惧(NT) 存続基盤が脆弱な種 27 34 61 情報不足(DD) 評価するだけの情報が不足している種 4 10 14 絶滅のおそれのある 地域個体群(LP) 地域的に孤立している地域個体群で、絶滅のおそれが高いもの 0 1 1 要注目種(N) 本県独自のカテゴリー 45 31 76 現状不明(N-Ⅰ) 現状が不明な種 14 0 14 分布上注目種(N-Ⅱ) 絶滅の危険性は小さいが、分布上注目される種 4 9 13 部会注目種(N-Ⅲ) その他各部会で注目すべきと判断した種 27 22 49 静岡県レッドデータブック掲載種 合計 185 141 326 環境省レッドリスト *のみに掲載されている種 13 47 60 合計 198 188 386 注)動物(魚類)は、「静岡県レッドリスト 2020」の全県カテゴリーで集計した。

また、カワムツ、タモロコは「静岡 県レッドリスト 2020」に掲載されているが、沼津市においては移入種とされているため除外した。 *:「環境省レッドリスト(2020,2025)」及び「環境省版海洋生物レッドリスト(2017)」 【資料:静岡県レッドリスト(2020)、環境省レッドリスト(2020,2025)、環境省版海洋生物レッドリスト(2017)】 3-4 コアジサシ キバナノショウキラン ホトケドジョウ トノサマガエル -- 10 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 94 身近な公園にも広がる外来種の影響 本市が 2022(令和 4)年度に門池公園で実施した自然環境調査では、私たちの身近な場所にも多 くの外来種が定着していることが明らかになりました。

確認された特定外来生物は、ガビチョウや ソウシチョウ(鳥類)、ウシガエル(両生類)、アカボシゴマダラ(昆虫類)、ブルーギル(魚類)な どです。また、ミシシッピアカミミガメ(爬虫類)や、アメリカザリガニ(甲殻類)などの条件付 特定外来生物も確認されています。これらの外来種は、在来種の生息地を奪ったり、捕食したり、 交雑によって遺伝的な攪乱を引き起こすなど、生態系にさまざまな影響を及ぼします。

こうした変 化は、山や川だけでなく、私たちが日常的に訪れる公園でも起きているのです。外来生物の問題は、 地域の生物多様性を守るうえで重要な課題です。市民一人ひとりが関心を持ち、地域ぐるみで取り 組むことが、持続可能な自然環境の保全につながります。 ●天然記念物 2024(令和 6)年 10 月現在、本市には 89 件の指定文化財があります。

そのうち、天然記念物は国指 定の「大瀬崎のビャクシン樹林」、県指定の「岡宮浅間神社のクス」「御浜岬のイヌマキ群生地」「鮎壺の 滝」「河内の大スギ」、市指定の「久連神社社叢」「赤野観音堂のカヤ」「河内の稲荷スギ」「部田神社のコ ブ付大クス」の合計 9 件があります。 また、本市で確認されている動物のうち、カモシカ、カンムリウミスズメなど 6 種が国指定の天然記 念物・特別天然記念物に指定されています。

外来種 「外来生物法」 (特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)では、生態系や人の生 命・身体、農林水産業に悪影響を与えるおそれのある外来生物を「特定外来生物」として指定し、飼養・ 栽培・保管・運搬・販売・輸入などを規制しています。 本市では、多くの外来種が確認されています。

これらのうち、特定外来生物は、植物のオオフサモ、 アレチウリ、オオカワヂシャ、オオキンケイギク、ミズヒマワリ、オオハンゴンソウ、鳥類のガビチョ ウ、ソウシチョウ、爬虫類のカミツキガメ、ミシシッピアカミミガメ、両生類のウシガエル、魚類のア リゲーターガー、カダヤシ、ブルーギル、昆虫類のアカボシゴマダラ、甲殻類のアメリカザリガニの合 計 16 種です。

このうち、ミシシッピアカミミガメとアメリカザリガニの 2 種は「条件付特定外来生物」 に指定されており、飼うことはできるものの、野外に放すことは禁止されています。 3-5 アレチウリ オオカワヂシャ ソウシチョウ アカボシゴマダラ column コラム -- 11 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 95 地域ごとのニホンジカの生息密度と課題 静岡県が 2022(令和 4)年 3 月に策定した「第 二種特定鳥獣管理計画(ニホンジカ) (第 5 期)」 によると、本市の狩野川放水路以南の区域につ いてはニホンジカの生息密度が減少傾向、本狩 野川放水路以北の区域については、長泉町との 境で局所的に生息密度が高い状況が続いてい ます。

なお、静岡県が公表しているニホンジカの推 定生息密度(2024 年度末)をみると、鷲津山や 戸田付近を中心に密度が高くなっています。 ニホンジカによる農林業被害は、スギ・ヒノ キ等の枝葉の食害と樹皮摂食による枯損、果樹 やイネの食害など多岐にわたっていますが、生 物多様性の保全と農林業被害の軽減を両立さ せるためには、管理捕獲の従事者を確保するな どの取組が、ますます重要になってきていま す。

野生鳥獣 ●野生鳥獣とのあつれき 本市には豊かな自然があり、そこには多くの野生動物が生息しています。これまで里地里山を中心に 生息していたイノシシやニホンジカの生息域は、近年では市内全域に広がり、市街地でも確認されるよ うになっています。このように人が生活する地域にまで生息範囲が広がることで、人と接する機会も多 くなりました。

近年では、カラスやイノシシ、ニホンジカなどの鳥獣による林産物・農作物などへの被害が発生して います。2024(令和 6)年度の被害面積は約 8.3ha、被害見積額は 1,923 万円でした。 391 467 392 495 464 642 537 556 619 509 0 200 400 600 800 2015 16 17 18 19 20 21 22 23 24 (羽、頭) カラス イノシシ ニホンジカ サル タヌキ ハクビシン その他 年度 13.5 10.0 10.0 10.5 10.1 9.7 9.1 8.6 8.3 8.3 32.0 25.3 24.7 23.3 22.5 21.8 20.8 20.1 19.5 19.2 0 10 20 30 40 0 5 10 15 2015 16 17 18 19 20 21 22 23 24 (ha) 被害面積 被害見積額 年度 (百万円) 3-6 鳥獣被害状況 【資料:農林農地課】 鳥獣捕獲数 【資料:農林農地課】 ニホンジカの推定生息密度(2024 年度末) 【資料:静岡県自然保護課】 column コラム -- 12 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 96 市街地の拡大と農地の減少 国⼟交通省の「⼟地利⽤細分 メッシュデータ」の 1976(昭和 51)年と 2021(令和 3)年を比 較すると、建物用地や道路など を含む市街地は約 1.5 倍に増加 しましたが、そのかわりに農地 が著しく減少しています。

農地は人の働きかけを通じて 形成されてきた環境ですが、 様々な動植物の生息・生育地に もなっています。生物多様性の 観点からも農地の保全が求めら れています。 生態系 ●生態系区分 本市の生態系は、地形、地質、標高、植生の観点から分類する と、大きく「奥山(愛鷹山地区・達磨山地区)」「里地里山(愛鷹 山地区・達磨山地区)」「田園・湿地」「市街地」「河川・池沼」「海 岸・海洋」の 6 つに区分することができます。

奥山 主に標高 800mを超える自然性の高い森林や草地 を含む地域で愛鷹山地区、達磨山地区がある 里地里山 主に標高 800m未満にあり、定期的・不定期的に人 為的影響を受けて成立している森林や草地で愛鷹 山地区、達磨山地区がある 田園・湿地 浮島ヶ原をはじめとする水田などの湿地の地域 市街地 住居や工業地帯などの地域 河川・池沼 河川、池沼、湧水などを含む地域 海岸・海洋 駿河湾沿岸の砂~砂礫浜海岸と伊豆半島沿岸の岩 石海岸を含む地域 3-7 奥山(愛鷹山) 里地里山(愛鷹山) 市街地 里地里山(達磨山) 奥山(達磨山) 海洋 河川 海岸 田園・湿地 生態系区分図 土地利用面積の変化 【資料:国土数値情報・土地利用細分メッシュデータ(国土交通省)】 森林 農地 市街地 ※1 河川、湖沼、海浜 その他 ※2 ※1 市街地として、建 物 用 地 、 道 路 、 鉄道、その他の 用地( 人工造成 地 の 空 地 等 ) を 含む ※2 その他として、荒 地、その他の用 地(空地)、ゴル フ場を含む 1976 年 2021 年 column コラム -- 13 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 97 ●愛鷹山地区の奥山 標高 1,187.5mの愛鷹山を含む地域には、主にスギ・ヒノキ植林と越 前岳までの稜線部にみられる天然林のブナ林が分布し、日本固有種の維 管束植物の多いエリアとしても重要な地域です。

愛鷹山では、ツキノワグマやカモシカ、クマタカなど、豊かな森林帯 を必要とする動物がみられますが、森林の縮小と分断によりツキノワグ マの絶滅が心配されています。また、カヤクグリやハコネサンショウウ オなど、冷涼な気候を好む種が生息しています。愛鷹山の山頂付近は「愛 鷹山自然環境保全地域」に指定されています。

●達磨山地区の奥山 達磨山(標高 982m)や金冠山(標高 816m)の山頂付近を含む範囲 は、ミヤマクマザサによる草地や自然性の高い低木林が広く分布してい ます。また、谷間や凹地にはマメザクラ、ヒメシャラ、サラサドウサン、 リョウブなどが点在しています。 動物は、ササ類を食草とするヤマキマダラヒカゲが生息するなど、草 地や低木林を利用する種がみられます。

また、達磨山西麓を流れる戸田 大川の上流域にも、水温の低い渓流でみられるハコネサンショウウオが 生息しています。なお、達磨山山頂周辺は「富士箱根伊豆国立公園」の 特別地域に指定されています。 ●愛鷹山地区の里地里山 標高 800m以下の愛鷹山では、スギ・ヒノキ植林が広く分布しており、 その多くは伐採適期を迎えています。

一方で、コナラやクヌギなどの落 葉広葉樹林、シイ・カシなどの常緑広葉樹林はあまり多くありません。 また、茶畑や畑地などの耕作地、ゴルフ場、住宅地、造成地など、人間 活動と関係の深い土地利用が多いことも特徴です。 愛鷹山の山麓部では、ムササビ、サンコウチョウ、オオミドリシジミ など森林性の動物が多く確認されています。

また、ニホンジカやイノシ シは近年個体数が増加傾向にあり、遭遇する機会が増えています。 ●達磨山地区の里地里山 伊豆半島では、スギ・ヒノキ植林が広く分布しており、特に戸田地区 の森林では、SGEC 認証を取得して持続可能な森林経営を行っています。 そのほかにコナラやシデ類の落葉広葉樹林、みかんなど果樹園を主とす る耕作地、シイ・カシ類や海岸付近で特徴的に分布するウバメガシやタ ブノキなどの自然性の高い常緑広葉樹林が分布しています。

また、香貫 山から大平山周辺などでみられたアカマツ林は、マツノザイセンチュウ による松枯れや手入れが行われなくなったことにより、常緑・落葉広葉 樹林に遷移した場所が多くなりました。 ①奥山 ②里地里山 達磨山地区の里山 スギ・ヒノキ植林 達磨山のササ草地 愛鷹山のブナ林 -- 14 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 98 市街地の生物多様性を育む事業者の取組 株式会社明電舎(沼津事業所)の敷地内にはビオトープが整備されて おり、良好な水辺環境の指標とされるハグロトンボの定着が確認されて います。

さらに、ジャコウアゲハやカワセミ、カモなど多くの生物の誘 致を目指し、新たなビオトープ整備を継続しています。 こうした企業による自主的な取組は、市街地の生物多様性保全に貢献 するだけでなく、環境教育の促進にもつながる可能性を秘めています。 【資料:株式会社明電舎】 静浦から戸田地区にかけての山地では、ニホンザル、アオゲラ、シモダマイマイなど森林を主な生息 環境とする動物が多く確認され、静浦地区では石切場跡がコウモリ類の生息地となっています。

香貫山の里山は、市街地に近い場所にあることから、人と自然とのふれあいの場になっています。香 貫山では、ヤマガラ、シロハラ、カブトムシなど森林に生息する鳥類や昆虫類が多く確認されています。 また、戸田地区には「日本の棚田百選」に選ばれている「北山の棚田」があります。 田園ではアマサギなどの鳥類や、ドジョウ、モノアラガイなどの水生 生物がみられます。

浮島ヶ原には、数多くの湿生植物や水生植物が生育 しており、サワトラノオは浮島ヶ原を県内唯一の生育地とする種です。 また、ミツガシワ(植物)、ナガオカモノアラガイ(貝類)などの静岡県 版レッドリスト掲載種が生息・生育する貴重な湿地です。その一方で、 カダヤシやウシガエルなどの外来種も確認されており、在来の動植物へ の影響が危惧されています。

市街地には、住宅地や工場地帯が広く分布していますが、わずかにコ ナラやシイ・カシ類の広葉樹林も分布しています。また、点在する巨樹・ 巨木林や社寺林の存在は、良好な景観の形成、動植物の生息・生育環境、 人々の心のよりどころなど、とても重要な働きを担っています。 市街地では、アブラコウモリ、キジバト、ムクドリ、オカダトカゲな ど、普段よく目にする動物が確認されています。

これらの動物は民家や 寺社などの人工物や街路樹などをすみかとして利用しています。 ●河川 狩野川や沼川では、ニホンウナギ、ボラ、ヌマチチブなど河川下流域 に生息する魚類が確認され、狩野川河口域では、コショウダイやイケカ ツオのような一時的に、河口域に出現する海水魚も確認されています。

また、狩野川の高水敷にはヨシ群落、オギ群落などが分布しており、河 口部にはシギ、チドリ類の渡りの中継地ともなる干潟も存在しています。 ③田園・湿地 ④市街地 ⑤河川・池沼 市街地に残る社寺林 狩野川河口の干潟 浮島ヶ原の水田 column コラム -- 15 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 99 砂浜と岩礁が育む多様な生命 本市が 2023(令和 5)年度に長井崎で実施した調査では、様々な生きものが観察されています。

海岸の岩礁まわりにはキュウセンやカサゴなどが確認されています。また、岩の裂け目にはカメノ テが群生し、潮だまりには、口が大きく吸盤があるドロメが生息しています。海岸上空ではトビが よく見られ、ウミネコは一年中群れで見られます。また、海岸性の低木のハコネウツギや、マサキ などの植物がこの地の生態系を形作っています。

三島市との境にある灰塚川(松毛川)は典型的な三日月湖であり、全国的にも珍しい地形でエノキ、 ムクノキなどの河畔林が残されています。 ●池沼 本市の主要な池には門池、大瀬崎の神池、井田の明神池などがありま すが、神池や明神池は海に隣接する場所にありながら淡水の池として知 られています。

門池では、ニホンスッポン、アブラハヤ、テナガエビなどの水生生物 のほかに、カワセミ、ツチガエル、シオカラトンボなどの水辺でみられ る動物が確認されています。 ●海岸 本市の海岸線は約 64km あり、大瀬崎や御浜岬の砂嘴、江浦湾・内浦 湾のリアス海岸などの複雑な地形を有しています。

伊豆半島沿岸は、所によって海食崖が発達した岩石海岸になっていま す。このような断崖地には海岸断崖植生のほか、「大瀬崎のビャクシン 群落」などの特定植物群落をみることができます。また、海岸の岩礁地 ではイソヒヨドリなどの鳥類がみられ、波がかかる場所にはタマキビガ イやイワガニなどが生息しています。

礫海岸では、オオミミズハゼなど、 礫の隙間という特殊な環境に適応した種も確認されています。 駿河湾沿岸では、砂浜や砂礫浜の海岸が広がっています。海浜部ではハマゴウ群落、陸側には特定植 物群落にも指定されている「千本松原のクロマツ林」が広範囲に広がっています。 ●海洋 海岸の前面や浅海域においては、岩場にガラモ場やテングサ場、砂地 にアマモ場などが分布し、藻場を形成しています。

このほか、内浦湾に は、エダミドリイシなどからなる造礁サンゴ群集があり、日本の造礁サ ンゴのほぼ北限とされています。 本市は、水深が深い駿河湾に面しているため、表層を遊泳するカンパ チ、ブリなどから、深海に生息するミツクリザメやタカアシガニなど、 様々な水深に生息する魚介類が確認されています。

また、ハシボソミズ ナギドリ、カンムリウミスズメなど多くの海鳥が確認されています。 ⑥海岸・海洋 明神池 大瀬崎のビャクシン群落 内浦湾 column コラム -- 16 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 100 絶滅したと思われていたオオスナモグリの発見 オオスナモグリは、中期更新世~完新世(100 万年前以降)から産出する化石や遺骸のみが知ら れ、絶滅したと見なされていた大型の甲殻類(スナモグリ類)です。

しかし、2017(平成 29)年 3 月、本市の陰野川河口の干潟にて現生の標本が採集され、生存が確認されました。この再発見は、 分類学的・系統学的に大きな意義があり、本市の沿岸環境が貴重な生物の生息地となっている事例 ともいえます。 【資料:オオスナモグリは生きていた(千葉県立中央博物館ウェブサイト)】 「自然共生サイト」登録による地域貢献 富士通株式会社沼津工場は、敷地の約 8 割を広大な緑地が占めてお ります。

この緑地は、多様な自然環境が地域の生物多様性を育む場とし て、また、自然とのふれあいを楽しむ場として積極的に活用されていま す。さらに、この緑地内で実施されている生物多様性保全への取組(自 然体験ウォーキング、特定外来種の駆除、重要種の保全など)が高く評 価され、環境省の「自然共生サイト」に登録されています。

これらの取組は、本市全体の生物多様性保全活動をさらに促進し、市民・事業者と自然が調和し た未来の実現に向けた重要な一歩となっています。 【資料:富士通株式会社沼津工場】 保護地域・自然共生サイト ●保護地域 本市には、「生物多様性国家戦略 2023-2030」で定める保護地域 として、自然公園や自然環境保全地域、鳥獣保護区、保護林など があり、これらを合計すると市域に占める保護地域の割合は 31.9%です。

なお、日本全体の保護地域の割合は、陸域が 20.5%、 海域が 13.3%です。 ●自然共生サイト 本市には、環境省の「自然共生サイト」に登録された区域が 1 箇所(富士通株式会社沼津工場:40.22ha) あります。 本市の保護地域 保護地域 面積 (ha) 総面積に対する 保護地域の割合 総面積 18,682 31.9% 保 護 地 域 自然公園 2,155 自然環境保全地域 250 鳥獣保護区 3,804 保護林 202 重複地域を除外 -453 保護地域合計 5,959 【資料:国土数値情報 GIS データ ほか】 3-8 保護地域 【資料:国土数値情報 GIS データ ほか】 column コラム column コラム -- 17 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 101 人と自然とのふれあい・景観 ●人と自然とのふれあいの場 本市は海、山、川の豊かな自然環境に恵まれていることから、釣りやボードセーリング、ダイビング などのマリンスポーツや海水浴、湧水やため池など水とのふれあい、ハイキングコース、自然観察スポッ ト、花の観賞など、自然とふれあうことのできる場所がたくさんあります。

●景観 市内には香貫山の香陵台や煌めきの丘など、富士山のビューポイントがたくさんあります。また、北 山の棚田は「日本の棚田百選」、千本松原は「日本の白砂青松百選」、牛臥・島郷・志下海岸は「日本の 渚百選」に選定されているなど、景観資源にも恵まれています。 なお、本市は 2007(平成 19)年 4 月に景観行政団体に移行後、2010(平成 22)年 6 月に「沼津市景 観条例」を制定するとともに、2010(平成 22)年 12 月には「沼津市景観基本構想」と「沼津市景観計 画」を策定しました。

●伊豆半島ジオパーク 本市にもジオサイトを有する伊豆半島ジオパークは、2018(平成 30)年 4 月、国際連合教育科学文化 機関(ユネスコ)から国内 9 地域目の世界ジオパークに認定されました。市内には、鮎壺の滝や淡島、 御浜岬など数多くのジオサイトがあります。 3-9 発端丈山ハイキングコース 平沢海水浴場 沼川の桜並木 煌めきの丘からの眺望 香貫山からの眺望 北山の棚田 淡島 鮎壺の滝 御浜岬 -- 18 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 102 ※特に重点的に取り組んでいくものに【重点取組】と表示 自然環境調査の実施と生物の保全・管理 項目 取組内容 自然環境調査の実施  在来種、外来種のモニタリング調査の実施【重点取組】  水生生物調査(観察会)の実施 絶滅の可能性のある動植物 の保護保全  アカウミガメ産卵実態調査 天然記念物の保護  天然記念物の指定・保護 外来種の防除活動の普及啓発  外来種の防除活動の普及啓発 有害鳥獣への対応  有害鳥獣の捕獲などによる適正管理 生態系の保全と生物多様性保全活動の拡大 項目 取組内容 奥山・里地里山 田園・湿地の生態系の保全  愛鷹山自然環境保全地域や富士箱根伊豆国立公園での環境に影響 を与えるおそれのある行為制限の周知  森林の適正な維持管理の推進  保安林の指定  環境保全型農業の推進  集落協定などを活用した農地保全の推進  農作物林産物の地産地消の推進  荒廃農地への対策  湿地の保全 市街地の生態系の保全  公園緑地の整備・管理  市民参加型の公園管理の推進  緑化の推進 河川・池沼の生態系の保全  河川及び護岸の保全管理  河川の清掃・保全活動への支援 海岸・海洋の生態系の保全  海岸林の保全・管理  海岸清掃・保全活動の支援 30by30 目標への貢献  保護地域や自然共生サイトの拡大 生物多様性保全活動の拡大  「ぬまづ生物多様性保全活動賛同団体登録制度」の普及 自然環境への配慮  「沼津市景観等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する 条例」に基づく自然環境への配慮の推進 自然とのふれあいの促進 項目 取組内容 ふれあいの場の整備・管理  自然環境を活かした観光資源の保全・整備・維持活用  ハイキングコースの整備とパトロールの実施  自然環境に配慮した景勝地の維持・管理 マナー啓発  自然とのふれあいにおけるごみの持ち帰り・分別の徹底 美しい自然景観の保全 項目 取組内容 景観の保全  沼津市景観計画に基づく、良好な景観形成  電線地中化の推進 地形・地質資源の保全・活用  伊豆半島ジオパークのジオサイトの活用 4-1 4-2 4-3 4-4 | 第 4 節 生物多様性に関する対策・施策 -- 19 of 20 -- 第 7 章 ぬまづ生物多様性地域戦略 103 ぬまづ生物多様性保全活動賛同団体登録制度 本市では、地域の豊かな自然環境と生物多様性を守るため、「ぬまづ生物多様性保全活動賛同団体 登録制度」を導入しています。

この制度は、市内で生物多様性保全に取り組む企業や団体が登録し、 活動内容を市が広報することで、地域全体の意識向上と連携を促進するものです。登録団体には証 明書が交付され、市のウェブサイトで活動が紹介されます。例えば、敷地内のビオトープ整備や河 川清掃、自然観察会の開催など、多様な取組が対象です。

自団体の活動を広く発信し、他団体との 情報交換の場としても活用できます。 自然を活用した解決策(NbS)、Eco-DRR、グリーンインフラ 近年、気候変動や自然災害への対応策として注目されているのが「自然を活用した解決策(NbS: Nature-based Solutions)」です。

NbS は、森林や湿地などの自然の力を活かして社会課題を解決す るアプローチであり、環境保全と人々の暮らしの両立を目指します。 なかでも「Eco-DRR(生態系を活用した防災・減災)」は、自然の緩衝機能を利用して災害リスク を軽減する手法で、例えば海岸林や湿地の保全が津波や洪水の被害を抑える効果を持ちます。

また、 「グリーンインフラ」は都市や地域づくりに自然の機能を取り入れる考え方で、雨水の浸透や都市 の温暖化対策にも貢献します。これらの取組は、単なる環境対策にとどまらず、地域のレジリエン ス向上や生物多様性の保全にもつながります。持続可能な社会の実現には、単に自然との共生を目 指すだけではなく、社会課題を同時に解決するという視点が重要です。

グリーンインフラ(都市部)の取組・手法 【資料:グリーンインフラ実践ガイド(国土交通省)】 column コラム column コラム -- 20 of 20 --

公式資料(PDF)

← 市の計画(政策の地図)に戻る